ゲームミュージックについて

管理日記1999/05/17〜18より

ゲーム音楽について書こうと思いますが、キングレコードの『ミュージック・フロム・ハイドライド3』のアレンジ・バージョンの編曲者加藤みちあき氏のライナーノーツにかなり共感できる部分があったので一部を紹介させていただきます。


 いい意味で、不完全なのがスバラシイ。不完全なままで、あとは、聴き手のイメージや想像力に委ねるというのは、ひょっとしたら、新しい音楽の楽しみ方なんじゃないかと思わされました。これは、聴く側のニューウェーブ(古い表現でゴメン)ですね。

 これでもか、これでもかと音数や音色の多彩さで、どんどんイメージを限定していってしまう音楽が多すぎる(その一端を僕も担っている訳ですが)現在にあって、ゲーム音楽はとても新鮮な存在です。

 音を重ねれば重ねるほど、普通の音楽になっていってしまうんだナ、というのが今回のレコーディングでの感想です。ぼくの希望としては、ゲーム音楽はこれ以上音色や音数の面で、進歩して欲しくない。今のままが充分新しさを感じますね。でも進歩してしまうんでしょうね。


私自信、実家が楽器屋だったということもあり、生まれる前から飽きるほどクラシック音楽等を聴いていたので、全くクズな音楽センスでは無いとは思うのですが、今のゲーム音楽に音数を減らしても勝負できる曲(メロディラインがしっかりしている曲)がどれくらいあるのかが気になります。

最近(1994年以降)のゲーム音楽(進歩してしまったゲーム音楽)は、ドラム等のパーカッションの音量が大きく、どの曲を聴いても印象が薄く同じように聞こえてしまい、自信の無いメロディラインを隠しているのではないかという余計な詮索さえしてしまいます。

とはいえ、音数が多くても好きな曲は好きで、CD音では『天使の詩』シリーズや、『風の伝説ザナドゥ』シリーズ、『イースIV』(PCエンジン版のみ)など、PCエンジンのゲームに良いものが多くありました。

最近CD音レベルのゲームが少ないのは、PCエンジンはゲームプログラムを殆どメモリに入れて、音楽用CDデータを再生することができたのに対して、今のゲーム(次世代機以降)は頻繁にCDアクセスが必要で、曲をプログラムとしてメモリにいれていることが影響しています。

崎元仁(YmoH.S)&岩田匡治(Rezon)両氏の曲では、同じオーケストラ調でも何故か『FFT』より『伝説のオウガバトル』の方が好きなのですが、理由はPC-88の頃からゲーム音源を使いこなしている人だからなのかもしれません。PCエンジンで有名な『マジカルチェイス』のエミュレータ版はYmoH.S&Rezon両氏の音が再現できない(『マジカルチェイス』だけが異常な音楽プログラム?)との話を聴いたことがあるので、Windows版を買ったほうが良いのでしょうが、PCエンジン版しかやったことが無いので、断言はできません。

アレンジCDでは『MOTHER』や、『FFIII悠久の風伝説』、最近のものでは『R-TYPEデルタ』のイメージテーマ(サントラCD1曲目)等がお気に入りです。植松伸夫氏には、『FFIII悠久の風伝説』レベルの曲に戻ってもらいたいものです。

 

全然関係ないことですが、昔のnamcoのSE(サウンドエフェクト)が実によい。『パックマン』のドットを食べる時の音や『ドルアーガの塔』の死亡音など、一つの音色で作られたメロディを高速で聴かせることによって奇妙な感じを出しています。(この当時の技法をエフェクトと呼ぶかどうかには若干の疑問が残りますが)確かにデータの削減にもなるし、当時はそれくらいしかできることの幅が無かったのですけど。現在、サンプリングという形でSEが作られる様になり、ロストテクノロジーと化してしまい存在しないのは非常に勿体ないことだと思います。

 

漫画やアニメの世代に活字を与えることの難しさと同様に、今のゲーム性やゲーム音楽に慣れ親しんだ世代に、昔のゲームやゲーム音楽を与えるのは無理だろうと思う今日この頃。

しかし、「クラシック音楽?ビートルズ?そんな古いものはイケてないよ」という話はあまり聞かないのですが皆さんどうでしょうか。